NEWS
TECH BLOG / 10月 31, 2018
ARIB規格対応HEVC エンコーダ
マウリシオ アルバレズ-メサ(博士): Spin Digital HEVC エンコーダ (Spin Enc) は最新版であるバージョン1.8において8K放送フォーマット(ARIB STD-B32 version 3.9) の対応を開始しました。
この記事ではARIB STD-B32 の意味と用途についてご紹介します。
8K放送のための規格ARIB STD-B32
STD-B32は一般社団法人 電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses, ARIB)によって策定された規格であり、この規格において ”デジタル放送のための映像符号化、音声符号化、多重化” について指定されています。STD-B32の重要な用途は日本でのスーパーハイビジョン8Kテレビ放送規格の指定です。
ARIB STD-B32で規定される主要な映像符号化パラメータは以下のとおりです:
- 解像度とフレームレート: 7680×4320, 60/120 Hz
- クロマフォーマットとビット深度: 4:2:0, 10-bit
- 符号化規格: HEVC Main 10 profile – Level 6.1/6.2 – Main Tier
- 最大ビットレート (8Kp60): 132 Mbps
- 伝達関数と色域: BT.2100 HLG, BT.2020
STD-B32での画像分割
STD-B32 では8K解像度を4つのスライスへと画像分割するよう指定されています。 波状並列処理 (Wavefront Parallel Processing, WPP) は許可されていますが必須ではなく、タイル分割は許可されていません。 図 1に指定フォーマットを示します。
スライス境界を跨いだフィルタ (deblocking 及び SAO) とスライス境界を超えるフレーム間予測は許可されると定義されています。また、境界を跨いだフレーム間予測のためにスライス境界を超えるモーションベクトルに制限がかけられています。
Spin Digital の ARIB STD-B32 対応
Spin Digital HEVC エンコーダ (Spin Enc) は ARIB STD-B32 規格において8Kフォーマットとして指定される画像分割方式に対応しています。 ARIB対応ストリームの再生は以下のARIB対応HEVCデコーダおよびプレイヤー上で動作を確認しています。
- Spin Digital HEVC プレイヤー (Spin Player). Spin Player は Spin Digital製 HEVC ソフトウェアデコーダを使用したHEVCメディアプレイヤーです。 Spin Digital製 デコーダはCPUベースの高性能HEVCソリューションとして、 ARIB 4スライスフォーマットを含むHEVC規格上の様々な映像分割形式(タイル・スライス・WPPs) にも対応しています。
- Socionext S8 プレイヤー (S8 player): ソシオネクスト社はハードウェアHEVCデコーダを基調としたS8と呼ばれるプレイヤーを開発しました。 S8 プレイヤーは ARIB STD-B32 映像分割形式のみに対応した8K HEVCプレイヤーです。 Spin Digital HEVC エンコーダストリームはこのS8プレイヤーとの互換性があることが確認されています。 (注: 確認はサードパーティーで行われており、Spin Digitalにより直接確認したものではありません)。
まとめ
ARIB STD-B32 規格では上記に示した8KスーパーハイビジョンTV放送フォーマットのための映像符号化パラメータが規定されています。STD-B32は特定の制約を持つHEVCスライスを基調とした必須の画像分割方式を定義しています。
Spin Digital HEVCエンコーダ(Spin Enc) は新たにARIB STD-B32 画像分割モード対応を加えました。Spin EncによるSTD-B32対応HEVCストリームの映像復号はソフトウェアプレイヤーであるSpinPlayerとハードウェアプレイヤーであるソシオネクスト S8 で、ともに実証確認されました。
参照情報
[ARIB-2018] ARIB. STD-B32. Video Coding, Audio Coding and Multiplexing Specifications for Digital Broadcasting. July 2018